膝前十字靭帯再建術
骨に穴をあけて、断裂した靭帯のかわりに腱を移植します。
前十字靭帯再建術の適応
- 活動レベルを低下させたくない人
- 活動レベルを低下させたが再受傷した人
- 低下させた活動レベルに満足できない人
当院の特徴
切開は極限まで小さく、体の負担を最小限に
- 最小侵襲手術
- 1皮切
- All inside法
経験豊富な医師が手術に当ります。前十字靱帯再建術の手術時間は1~1.5時間で、皮膚切開は1箇所(1皮切)、最小限です(最小侵襲手術)。またこの手術では、骨に移植腱を通す穴を掘る必要がありますが、当院ではこの骨を掘る量も必要最小限です(All inside法)。
手術方法
膝の裏側にある屈筋腱の一部を、移植腱とします。この影響で膝を曲げる力が低下しますが、これは一時的なもので時間の経過と共に回復することがわかっています。
下のグラフは、膝を曲げる筋(ハムストリングス)の筋力回復の様子です。前十字靱帯再建術に比べ、特にハムストリングスの回復が遅れる傾向にある後十字靱帯再建術後でも、術後1年で健側の80~85%、術後2年では87~93%まで筋力が回復します。ちなみにこれは過去のデータであり、現在はより積極的にハムストリングス回復のためのリハビリに取り組んでいます。
膝後十字靭帯再建術後の筋力回復について(吉田俊教ら 北海道整形災害外科学会 2003)
再建後の前十字靭帯
- 前十字靭帯損傷のMRI像
- 前十字靭帯が再生している様子
右図(術後一年後)十分に前十字靭帯が再生(移植腱の成熟)している状態の写真です。
理想的な靭帯の再生のためには適度な活動とリハビリが重要です。
注意しなければならないこと!
術後の治療目標!
まずは退院までに・・・
- 腫れのコントロール →RICEへ
- 膝の伸びと曲がりの回復
- 日常生活へ復帰
退院後・・・・
- 筋力、筋の神経的な活動性の回復
- バランス能力の回復
- 持久力の回復
スポーツ復帰へ向けて・・・
- フットワークなどから徐々に開始
- 全身的なコンディショニング
- スポーツ特異的なスキルの回復
- スポーツ復帰へ
※靭帯再建術後の十分な回復のためには、熟練した整形外科医による、早く正確で、低侵襲な手術が重要であることは言うまでもありませんが、それと同様に術後のリハビリテーションも重要です。特にこのケガではスポーツ復帰が術後の治療目標となる事が多く、それ相応の内容と期間のリハビリテーションが必要となります。これがアスレチック・リハビリテーションであり、日常生活レベルよりもさらに高いレベルへと身体機能を回復させることを目的としています。当施設では、術前から手術、そして術後のリハビリまでを一貫して診療、完結できる体制と設備を整えています。